中央共同募金会事業(2022年度)
本事業は2023年3月に終了いたしました。
実施報告および本領域にご関心ある方のキャリアに役立つリンク集はこちら
事業概要
2022年5月、中央共同募金会「重症児等とその家族に対する支援活動応援助成」をNPO法人みかんぐみが採択されたのを受け、医療的ケア児・重症心身障害児等とその家族を支援するための看護職を増やす事業がNfNへ業務委託されました。事業実施期間は2022年6月~2023年3月まで、下記のような事業を展開しました。
背景
近年、医療の高度化とともに日常生活や学校生活等で医療的ケア(以下、医ケア)を必要とする児童は全国で2万人にものぼると言われています。しかし、これまでその児童や家族のための支援は十分とは言えず、2021年9月に「医療的ケア児支援法」が施行されました。サービスの拡充に向けて教育や福祉など様々な分野で、ケアの担い手である看護職が益々必要とされています。しかし、小児分野の経験を持つ看護職の不足等により、サービスが提供できないといった深刻な問題が生じています。また、地域間格差も生じており、担い手不足が小児訪問看護を実施しない、できない大きな理由の1つとなっております。
コロナ禍においては、訪問看護ステーションで数少ない看護スタッフが濃厚接触者になったり感染することがあり、その際代わりに訪問できるスタッフがおらず、利用者もサービスを受けられない事態が発生しています。また、さまざまな理由で共働きをする親が増え、子供を長時間預かる場がさらに必要とされている中で看護師が確保できない状態は深刻です。医ケア児・重症児等がいる家庭の中にはコロナによる失業や処遇減額の影響を受けている状況もあり、子供に医ケアがあっても親が働ける仕組みを作ることは生活保障の面でも非常に重要であります。また、コロナ禍で多くの方が自宅での仕事や生活を強いられるなか、家族の負担は増す一方であり、この現状を打開すべく、医ケア児・重症心身障害児等のケアを担う看護職を増やす事業を実施いたしました。
事業内容
「集まれ!看護職たち 医療的ケア児・重症心身障害児の暮らしを支える×看護職のキャリア」
本ウェビナーでは、当事者ご家族や保育所・学校・地域・在宅等で活躍する看護職の話を通して、関心のある看護職が本領域でキャリアを歩む具体的なイメージがわくようになることを目的とします。一人でも多くの方にこの社会課題についてご理解いただけるよう、これまでの経験にかかわらずすべての看護職・看護学生・一般の方にもご参加いただきました。
アーカイブ映像の一般公開は終了いたしました。
NfN会員には会員サイトにて引き続き配信しています。
キャリア相談
NfN会員からのご相談には引き続き応じていただきます。但し、相談料は発生いたします。
日常から医ケア児・重症心身障害児のケアや対応にあたる看護職(特別・看護エキスパート)が本領域に関心のある看護職のキャリア開発を支援すべくオンライン・キャリア相談を受け付けました(相談者の負担はなしとし、無料にて実施)。
特別・看護エキスパートのご紹介
EXPERT
写真をクリックすると自己紹介と相談に乗れる内容をご覧いただけます。
<掲載は五十音順>
*エキスパートの方は他の方の相談を受け付けている等すぐに対応できないことがあります。お引き受けいただいている相談が終了した後に調整となる場合があります。
全国から募集しました看護職に対して医ケア児・重症心身障害児の生活の場を見学し理解を深めることを目的としたみかんぐみ様ピアスタッフ交流会への参加、ご家庭への見学訪問を実施しました。
写真をクリックすると参加者によってはご紹介文をご覧いただけます。
<掲載は五十音順>
参考資料
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厚生労働省によると、平成30年の医療的ケア児の全国総数は19,712人となり、過去 10年で2倍に増加している。小児の訪問看護利用者数のうち、難病や医療的ケアに該当する者の割合は、平成23年に比べて平成29年は約2.7倍である。在宅の医療的ケア児のうち48%が訪問看護を利用し、45%が居宅介護を利用している(厚生労働省中医協資料R1.7.17資料より)
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「一般社団法人 全国訪問看護事業協会:平成24 年度厚生労働省老人保健健康増進等事業 障害児の地域生活への移行を促進するための調査研究事業報告書(2010)」によると、0歳から18歳の在宅療養児への訪問看護を実施していない訪問看護ステーションが在宅療養児の訪問を実施しない理由は、「小児訪問看護の経験がある職員がいない」「小児看護を担当する職員がいない」を合わせて62.2%であった。また、小児への訪問依頼がある事業所のうち、その依頼を断った理由としては「小児訪問看護を担当するスタッフが不足していたため」が46.8%と最も多かった。
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「都道府県別の在宅療養児に対する訪問看護ステーションの需給状況(西ら、2015年)」では、20歳未満の人口10万人当たりの20歳未満の在宅療養児への訪問実績のある訪問看護ステーション数には、都道府県間で最大6.3倍、10歳未満の訪問実績のある訪問看護ステーション数では最大5.8倍の差が存在している。
本事業は「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン 重症児等とその家族に対する支援活動応援助成」を受けて実施しています。ご寄付いただいた皆様に感謝申し上げます。