テルモ生命科学振興財団助成事業<2025年度>

事業概要
NfNは2023年度に続き公益財団法人テルモ生命科学振興財団2025年度医療貢献活動助成に再び採択され、以下「看護職や看護学生に向けた看多機での在宅看取りの推進・普及啓発」事業を実施いたします(実施期間:2025年12月~2027年3月)。
背景
我が国では病院で亡くなる方が 8 割を占める現状があるなか、厚生労働省の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」が 2017 年末に実施した調査では、国民の 63.5%が「自宅で最期を迎えたい」と回答しています。その希望が実現しない要因は様々ありますが、医療の高度化と共に一般市民が在宅で看取ってもらえる、家族が看取れるということが理解されていない現状もあります。また、尊厳ある看取りを支える看護要員の確保が難しいという実態も浮かび上がっています。特に看護基礎教育に「在宅看護論」がない世代(平成8年以前)や訪問看護の経験がない者は、在宅看護のイメージを持てない者も多いといわれています。
このような背景をもとに、看護の質確保のため各地で在宅看取り教育プログラム等実施されていますが、そもそもの人材確保の観点からは、より多くの看護職に本領域に関心を持ってもらうことが必要であります。
そこで、近年新たな支援提供先として注目やニーズが高まっており、事業者数および利用者数が増加傾向にある看護小規模多機能型居宅介護施設(以下、看多機)での看取りについて紹介します。
より良いサービスを提供したいと思われている看護職、看護学生の皆様、是非事業へご参加ください!
見学プログラム
2026年9月11~12日
全国の看護職の皆様、
看護小規模多機能型居宅介護での看護や看取りの実際について、
現場を見て、話しを聞いてみませんか?
対象:
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日本国の保健師・助産師・看護師免許保有者(いずれか1つ以上)
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看多機での看護や看取りに関心のある方(経験は問いません)
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プログラムの全日程(下記参照)に参加が見込める者
プログラム日程:
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2026年8月22日(土)09:00-10:00:NfNによる参加者事前オリエンテーション(オンライン)
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2026年9月11(金)~12日(土):2つの看多機へ半日ずつ訪問(事業オリエンテーション、見学、質疑応答など)
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2026年9月27日(日)16:00-17:30:見学プログラム参加者報告会(オンライン・看護職および看護学生に公開予定)
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2026年8月~9月:オンライン・キャリア相談
*NfNのキャリア相談サービスをご活用いただき、1対1のオンライン・キャリア相談の機会を希望者に提供いたします。
募集人数:6名
参加費:無料(交通費・旅費〈日当・宿泊費含む〉をNfN規定により最大5万円まで補助)
募集〆切:2026年7月18日(土)
*面接日:2026年8月2日(日)9:00ー11:00の間15分程度(オンライン)。応募フォームにてご対応いただける日時をお選びください。
**最終選考結果は8月上旬頃までにご登録いただいたメールアドレス宛にご連絡いたします。
応募方法:募集要項をご確認いただき、応募フォームを、2026年7月18日(土)までにご送信ください。
*プログラムへの参加はNfN会員限定とします。応募時に会員である必要はありませんが、プログラムへの参加が決定しましたら速やかに会員登録(入会金・初年度年会費無料)をお願いいたします。応募者が多数の場合は既に会員である方を優先させていただきます。
<チラシはこちら>
本見学プログラムでは、地域における看多機での看護、その役割や看取りについて、見学を通して学ぶ機会を提供します。そして、将来この分野で活躍する看護要員の増強を図ることを目的とします。
訪問先:
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株式会社ラピオン 看護小規模多機能型居宅介護 ラピオンナーシングホーム(東京都日野市)
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まちのナースステーション八千代 (千葉県八千代市)
*2023年度の事業でお二人にご登壇いただいたシンポジウムのアーカイブ映像はこちらからご覧ください!

シンポジウム・
アーカイブ配信
<シンポジウム・アーカイブ配信>
「『ほぼ自宅、ときどき第2のお家』訪問看護・介護・通い・泊り全て対応可能な看多機での生活、最期について考えてみませんか?」
2024年12月14日、Nurse for Nurseでは「市民・看護職への看護小規模多機能型居宅介護での看取り推進」事業の一環として、「ほぼ自宅、ときどき第2のお家」と題したウェビナーを開催しました。
第1部では、看多機の概要、提供サービスや事例の紹介を通して、その役割や看多機を利用したお看取りの実際についてご紹介いただきました。また、看多機でご主人を看取られたご家族の方へのインタビュー動画も共有いたしました。そして、第2部では、いただいた質問に対して、ご登壇者のご経験を交えてお答えいただきました。
一般社団法人Nurse for Nurseは看護職のキャリア開発支援を通して様々な社会課題解決を目指している団体です。超高齢社会を迎えるなか、本動画を通して「自宅で最期を迎えたい」という多くの国民の想いが実現できる社会となることを願っています。
本事業への応援メッセージ
「看多機で家族の夢がかないました」
聖路加国際大学大学院 教授
山田雅子 様

今年の初夏、母が一番好きな季節に、一番一緒にいたい人と過ごしながら、息をすることを止めました。90歳になるまでの最後の10年を看多機が支えて下さったことになります。
私たちが看多機の利用を始めた理由は、母の認知機能が低下し、一人で自宅にいると誰とも話をしない時間が長く、痛めた腰の回復にも悪いし、さらに認知機能が下がっていくことが日々の中で手に取るようにわかったからです。それまで利用していたデイサービスとショートステイとは異なり、1か月ごとに、通ったり泊まったり、きめ細かく利用プランを立てていきます。私も兄もフルタイムで仕事をしていますので、どちらかが朝早いとか夜遅いとか、出張といった都合に合わせて、前の月に利用計画を立てます。私の仕事がない時は、いつも家で母と一緒にいました。
利用し始めの頃は、「暴言、暴力がひどい」などと職員から報告がありました。母は望まない方法で介護されると容赦なくダメ出しをします。これは我々家族に対しても同じです。例えば、説明や声掛けなく、いきなり体をつかんだり、動かしたりすると「やーめーろ!バカヤロー!!!」となります。これは周りの人の動きや雰囲気を感じとる認知力が落ちてきているためで、母にとっては、急に何かされれば、怒りますよね。いたって普通の反応なのだと思いました。このことを私たちは看多機職員に伝えながら、暴れないで過ごしてほしいと願うわけです。
一方、介護職員に助けられたのは、母の飲み込む力が落ちてきたときです。家では食が進まなかったとき、介護記録を見ると「全量摂取」していることがわかりました。その理由を知りたくで、介護職の方に食べさせ方を直に教わりました。母が好むスプーンの素材や、トロミの程度、口に運ぶタイミングなど、本当に上手にテンポよく介助してくださっていました。それをまねて自宅でもやってみるわけです。
看多機を利用するとは、このように、高齢者を真ん中において、家族と職員のみんなが介護を分担し合い、良い方法を見つけ出していくプロセスなのだと考えました。預けている期間はお任せということではなく、昼間の様子、夜の様子を報告しあい、互いにキャッチボールをしながら母が困った状況にならないよう、協働してきたのだと思います。
認知機能が低下し始めたころ、「食べたいというあいだは食べさせてね」と母は言いました。3月末にそれでもうまく食べられなくなってからは、自宅にて、お腹の皮下脂肪からの点滴に切り替えました。とてもそれだけでは命が続かないことは分っていましたが、ゆっくりゆっくり入れました。その点滴も入らなくなったとき、母は、最後のお通じをきれいに出して、名残惜しそうに私の顔を見て、息をするのを止めました。母は60歳代の頃から決めていた「私の死に装束」を身に纏い、大きな川に向かい歩いて行くことができたのです。
私は看護師ですから、最後の1か月は看多機のサービスを使わず自宅で看護をしましたが、もし看護師でなかったら、最後の暮らしを看護や介護の職員が自宅を訪問して支えてくれたことでしょう。看多機の看護師には、医療と介護をつなぐ立ち位置で、総合的なケアをマネジメントする力をつけてほしいと願います。
お世話になった皆さまに心から感謝申し上げます。
本事業は「公益財団法人テルモ生命科学振興財団2025年度医療貢献活動助成」を受け実施しています。
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